今年も有馬記念の季節となりました。
1年を振り返ると、春はドウラメンテが圧倒的な強さで2冠を制するも秋は戦線離脱。その穴は、NO2、3のキタサンブラック&リアルスティールがキッチリとバトンを受け取る格好となりました。一方、古馬戦線はチャンピオン級の馬たちの引退により、ゴールドシップがその期待を一身に受ける形となりました。しかし、個性派らしく“強かったり・脆かったり”で、結局は春の暫定チャンピオンとなったラブリーデイが秋には本格化となり、有馬記念はゴールドシップとラブリーデイの2頭が人気を2分する様相となってきました。稀代のクセ馬もここが引退レース。果たして、得意の中山コースでラストランを飾れるのか・・・興味深々のGPです。
それでは、予想の前に先ずは前哨戦のレース評価から。
JCは、天皇賞のリベンジに燃えた池添ショウナンパンドラの見事な差し切り勝ち。彼女自身が本格化したのは間違いないところですが、2着のムーアともども本命馬を目標にしての好騎乗。良馬場で時計自体はまずまずですが、着差は10着まで0.4差の大接戦。加えて、重賞初挑戦のジャングルクルーズに掲示板を許してしまったのはいただけません。ラブリーデイ以外の実績上位馬のレースぶりを見ても、明らかに最高峰G1とは言いがたい凡戦であったと辛口評価です。
菊花賞は、ドウラメンテのいない穴を2頭がシッカリと埋め合わせたレースとなりました。ダービー惨敗から血統を不安視されたキタサンブラックですが、インコースで折り合いながら直線抜け出すレースセンスの良さは、正に本物と感じました。また、上位2頭に勝るとも劣らないレースをしたのがリアファル。出入りの激しい展開を、よく3着にしのぎ切りました、こちらも明らかに強い馬であると高く評価します。
エリザベス女王杯は、馬場の渋る中をマリアライトが早めにスパートし、ヌーヴォレコルトを凌ぎ切った勝利は見事です。しかし、こちらも蛯名の好騎乗が功を奏した印象は強く、マイナス10キロでの勝利も次走に不安を残す結果と言えます。久々のルージュバックは15番枠から行き足が悪く、後方追走となりました。しかし、直線では持ち味の豪脚を披露し、次走に繋げるレースができたと評価します。
そこで、予想です。
古馬陣営はラブリーデイの堅実さを除き、強さはさほど感じません。ゴールドシップのラストランに何かが巻き起きそうな予感もしますが、JCでの“おとなしさ”を見る限る、闘争心がなくなったようにも感じました。有馬記念における名馬の引退レースは数々のドラマを生んできましたが、オルフェーブルとともに、ステイゴードの後継種牡馬として彼の前途は洋洋です。体調は良くても目イチの仕上げはないのに加え、15番枠も不運な気がしています。ここは彼らしく“出遅れから4角大マクリ”で場内を沸かせ、無事にラストランを完走して欲しいと願っています。
そこで、本命は強い3歳世代。ドウラメンテ&リアルスティールと好勝負を演じてきたキタサンブラックとしました。菊花賞の勢いに加え、この馬にはGP制覇に欠かせない、コース適正+先行力があります。勝っても勝っても人気にならないのは、地味?な血統背景に加え、やはり“キタサン”の冠が要因なのでしょうか?しかし、これまでの堅実さに加え素直な気性によるレースセンスの良さ・・・菊花賞の強さはもう本物だと感じています。馬場は不問で、ジョッキーもノリならば全く不安なし。何より、この馬は1月に後藤JKが手綱を取って見事に新馬勝ちを果たしています。今年の衝撃的なニュースの一つだった彼の悲報。こうした馬がGPで走るのも何か大きな縁を感じます。是非、彼の思い出も背負いながら、1年の締め括りのGPで激走して欲しいと願っています。
相手も思い切って、3歳世代からルージュバックを抜擢です。ご存知のとおり、年初めにはダービー、凱旋門賞も視野に入れていたほどの逸材です。体質的に弱く、春は思う通りの結果には結びつきませんでした。それでもミッキークインとの比較においては、能力的に何ら見劣ることはありません。復帰戦の前走も直線で他場と接触しながら豪快に追い込んできた姿は、次走に十分期待を予感させる走りでした。何より、調教の動きは毎回牝馬離れした豪快な動き・・・今回も、前走とは比較にならないド迫力の調教を見せられては重い印を打たない訳にはいきません。ローテーションに加え今回は体調も申し分なし。是非とも、今年最後の一戦で大爆発し、世間をアット言わせて欲しいと願っています。
そのほか、ラブリーデイのここ数戦はまさに優等生的なレース運びで堅実そのものです。今回も絶好枠の4番を引き当てましたがが、秋は4戦目。果たしてお釣りは残っているのでしょうか?2500Mの距離にも一抹の不安あり▲としました。
それならば、大活躍のデム&ルメを押さえない訳にはいきません。とりわけ、リアファルは菊花賞1番人気。少々人気になり過ぎの感もありますが、もしかしたら化け物かも知れず“要注意”と感じています。4月のデビューからここまで絶好調の外人2人。来年以降の日本の競馬は果たしてどうなってしまうのでしょう。流暢な日本語で“嬉しいです”だの“頑張ります”だのと、ガンガン勝ちまくってきました。しかし、是非来年は、日本人の美徳でもある「遠慮」だとか「譲り合い」、「奥ゆかしさ」と言った精神も学び、若手ジョッキーにも活躍の場を与えて欲しいものです。
さあ、いよいよ第60回有馬記念。中山競馬場に再びフルコーラスの“まつり”が響き渡るのか、それとも新たな女傑伝説の幕開けか、はたまた再び外人ジョッキーにしてやられるのか・・・記念すべき第60回有馬記念・・・今年もこの目でシッカリと見届けたいと思います。
◎キタサンブラック
○ルージュバック
▲ラブリーデイ
△リアファル
△サウンズオブアース